僕は昔テニスをやっていた

あのころは吐くほどの練習を毎日やっていた。
テニス自体は面白いが疲れる事が嫌いだった僕は、三年間は我慢するけどこれが終わったらもう部活には所属しない、とそういうスタンスで居た。とにかく肺を酷使するのが嫌だった。
だけどそれ以上に勝つのが好きだった。スポーツで勝つ事ほど面白いものはない。勉強で勝つよりも(あまり勝った事は無いけど)からだ全体に喜びが染み渡る感じだ。
最後に団体戦で負けた時はみんなで泣いた。負けるはずじゃないところで負けたのが中学生らしいメンタルの弱さだ。僕らは弱い自分たちを責めた。悔いは沢山のこった。
あの頃のラケットには今も最後に打ったボールの黄色い繊維が残っている。そのラケットでテニスをする事はもう無いと、初めから決めていたからだった。しかし最大の悔いは、最近になって気付いたのだけれど、テニスをやめたことだった。
スポーツで勝つ事ほど面白いものはないのだ。