全自動バナナ剥き器

尿意が限界点にまで達した時の僕は凄い。
トイレを求めて家路を急ぎ、帰り着いて用を足すまでの一連のプロセスは、スムーズ過ぎてまるで『全自動バナナ剥き器』の様だ、と偉い人が言っていた。


まず、限界点に達してからの自転車の操縦が素晴らしい。十八段変速のギアを巧みに切り替え、アップダウンの激しいロードを難なく疾走する。
家に着き自転車を玄関前に止める。実はその時点で既に靴が脱げかけているのだから驚きだ。玄関で靴が脱げなくて焦りを募らせるなんて馬鹿な事はしない。
玄関の扉を開けトイレに雪崩れ込み、ドアを後ろ手に閉じ鍵をかける。その時、空いている方の手でズボンのチャックを下ろしているからまたまた驚きだ。ちょっと古いデジカメならシャッターチャンスをのがしてしまうくらい、そこの動作が一番素早い。


とまあ……、どうでも良いのだが、結局


「習慣は第二の天性なり」


という事を僕は言いたかったのだ。良い言葉だ。
これはとても有名な言葉なのだが、誰が言ったのかは知らない。

僕はこの類稀なる特技を大事にしたいと思う。ただその前に、我慢しないでこまめにトイレに行くという習慣を是が非でも身に付けたい。