のび太スタイルの効用

のび太が昼寝をする時のスタイルが好きだ。枕を置いて仰向けに寝転がり、両手は頭の後ろで組む。仕上げに足を組めば、これでのび太スタイルの完成だ。のび太はこの格好で漫画を読み、昼寝をし、そして物思いに耽る。
僕も最近はこののび太スタイルで本を読む事が多い。しかし、実際にやってみればわかるのだが、この格好でジッとしているのは結構辛い。なので僕は、のび太スタイルで読み始めて、疲れたら楽な姿勢に移ることにしている。
それにしてもこのスタイル。決して楽な姿勢ではないのだが、なぜか物事を考えたり集中したりする時に向いているのだ。のび太自身も、作中で何度もあのスタイルで思想に耽っている。時には涙を流したりもした。
実はのび太は、自分に一番合ったスタイルを確立していたのだ。自分の得手不得手を理解し、リラックスしたい時や一人で事の経緯を整理したい時にはあのスタイルをとり、自分に何が出来るのかを考えた。ドラえもんの助けを借りずとも、のび太は本能的に生きていく術を知っていたのだ。と、僕は推察する。
もう一つ、のび太スタイルは「美しい」とも書き残しておきたい。場所を問わず、何処であのスタイルをとっても、不思議と景観にマッチするのだ。のび太の部屋を始め、川原、土管の上、押入れの中、裏山、浜辺、屋根の上、どこにいようとも、のび太のび太スタイルをとれば様になるのだ。


じつに渋い。のび太に倣って、これからものび太スタイルを続けていきたいと思う。