絵の中のおでん

寒いなァ、と呟きながら自転車をこいでいたら、ちょうど通りかかった民家の中から、「今日のご飯はおでんだからね〜」と言う声が聞こえた。ボクは、大根と卵とこんぶを空想のお椀に盛り、ちょこんと練りからしを添えて、卵を割って中のかたまった黄身を溶かしつつハフハフと口に入れた。
目からおでん汁がこぼれて、自転車をこぐ速度が少しだけ落ちた。