裏白夜行

さっき、この数ヶ月間見続けてきたドラマが終わった。白夜行である。白い巨塔以来にハマったドラマだったのだが、とても面白かった。
感動とか涙が溢れるとかいう類の感想は、この際どうでも良い。このドラマを見て、そういう言葉が出るはずも無い。だからといって何か適切な言葉が浮かぶわけでもないのだが。

僕は今何を書くべきなのだろう。そんな立ち位置などたいして興味は無いが、本当にわからない。テレビを消した静かな部屋に、唾を飲み込む音が響くばかりだ。

もしかしたら、白夜行は道に落ちているバナナの皮に例えられるかもしれない。
人は、道にバナナの皮が落ちているのを見ると、その皮によって誰かが滑って転ぶ事を期待する。
そして、もしかしたらそのバナナの皮は、偶然そこに置いてあるのではなく、見えない魔の手によって仕掛けられたのかもしれないと、妄想はどんどん加速していく。少なくとも僕はいつもそうやって妄想している。

果たして製作者の意図なのかどうかわからないが、白夜行は僕にそういう印象を与えてくれた。妄想の余地を残してくれたのだ、それも「上質」の。
バナナの皮に未来は無い。本当は皮だけになった時点で、最終回である。だが上記のようにそこから妄想していくという楽しみはあるし、今回はそれがバナナの皮ではなく、白夜行なのだから楽しいに決まっている。


僕の中ではまだ白夜行は終わっていない。裏白夜行という、物凄い暗い物語が始まったばかりだ。