ペンは持たない、頁は捲るけれど

久し振りに本格的にスポーツをやる。テニス。
本当に久し振りだったので、フォアもバックもイメージ通りに手足が動いてくれない。ただ、汗だけは昔よりも勢いが良い。二つ年下の大学生と試合をするが、良い場面でスマッシュなどのチャンスボールを凡ミスし、大敗。
スポーツは一度覚えたらなかなか忘れないが、最低限より少し上のレベルまではエスカレーターを使ったみたいにスーッと落ち込んでしまう。これがプロ選手かそれに近い大学選手なら、エスカレーターが階段になるのだが、それでもまあ、何かを辞めるという行為自体に大差はないし、昇る時は誰もが階段を行かざるをえない。だからこそ辞めるという行為は、悲しい以前に、もったいないと僕は思う。
さて、年下に負けた僕は(テニスに歳は関係ないが)昼飯を食べながら作戦を練ることにした。甘辛い坦々麺を啜りながら「青が散る」を思い出す。しつこく、信念を曲げずに、自分のテニスをやり通す事を、確か登場人物の一人が『覇道』と呼んでいた。
そして、再戦。とにかく、サーブはスライスとキックサーブを使い分け相手をコートの外に誘い出し、バックは少し浮き気味のスライスで相手コートに確実に入れ、フォアはトップスピンとスライスを使い分けて、相手がミスするのを待つ。変則的なテニスだ。これを勝つまで続ける、徹底する。『覇道』のテニスは相手が一流の下までなら通用するらしい。事実、僅差ではあるが今度は僕が勝利した。
『覇道』は素晴らしい。だが、試合から一日経った今は、全身筋肉痛でベッドから起き上がるのも辛い。だから暫くの間は、テスト勉強はお休みにしようと思う。

青が散る (文春文庫)

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