今日も元気だ たばこがうまい!


風邪をひいて喉が痛くなり一週間煙草を吸えなかった。
一週間も吸わないでいると、どうも生活がチグハグになってくる。今まで煙草を吸っていた時間が急にポカンと空白になり、その突然の時間増加に慌てふためくのだ。時間が増えたのなら有効に使えよ、と非喫煙者は言うが、そう言うほど彼等も時間を有効に使えてはいない。
まァそんなこんなで(結局時間は有効に使えなかったが)一週間が経ち、喉は回復した。そしていざ、白と紺をベースとし、そこにオリーブの葉を咥える金色の鳩をあしらった素敵なデザインの箱を目の前にしてみて思った。どうせならこの一週間のブランクを逆手にとって、煙草を出来る限り美味しく吸ってみようじゃないか、と。
煙草を美味しく吸うには、その燃焼温度を上げ過ぎないというのが基本事項になる。過燃焼にしない為には煙をゆっくりと吸い込み、しかも灰をなるべく落とさないようにするのが良いらしい。実際、急いで吸った熱い煙を口に入れると、味を楽しむどころではなくなる。珈琲やビールもそうだが、本来の味を楽しむには適切な温度が必要なのだ。灰は煙草をゆっくりと吸うと、自ずと白く柔らかいものが出来上がる。それを風除けにする事によって火種を刺激から守る。一本の煙草を吸う間に、灰を落とすのは一度か二度で良いだろう。そしてその灰自体を守るためにも風の無い場所で吸うのが重要だといえる。
という事でいろいろ調べた結果、冷房を効かせた部屋で吸うのが季節上からも有効であることがわかった。室温は二十八度に設定し、風量は弱だ。そして後はもう気分の問題なのだが、部屋の明かりは蛍光灯ではなく白熱灯が良いと思う。暖色系の明かりは心を落ち着かせてくれるからだ。火はマッチでつける。味が変わるような気もしないでもないが、それよりも煙草に火をつける行為自体に楽しみを求めたい。
さて、準備は完了した。いよいよである。一週間のブランクを経て、口に煙草を咥える。何とも言えない香り。マッチを擦り火をつける。そして、

……吸う……

感想は言わない。ただ、煙草が好きな人にはたまにはゆっくり、その味と香りを堪能して欲しいと思う。