群物が好き

ワンダーJAPAN (2) 2006 SUMMER

ワンダーJAPAN (2) 2006 SUMMER

軍艦島について調べていたら、「ワンダーJAPAN」という雑誌を見つけた。
セブンアンドワイで軍艦アパートが特集された第2号を注文し、セブンイレブンに取りに行くと、必要以上に頑丈に梱包されたブツを手渡された。なんとか自転車でそれを持って帰り、ワクワクしながら梱包を引き千切る。すっごい楽しい。それでとりあえず、中から出てきた"さようなら 軍艦アパート"の文字が眩しい雑誌をテーブルに置いて、珈琲を淹れに行った。コポコポと珈琲メーカーが音を立てる中、僕は雑誌をチラ見しつつ家の中を動き回る。待ち遠しいなァ、とか呟いてみたりする。そんで珈琲が入るとそれを木のマグカップに入れて、雑誌の置いてあるテーブルに置く。最近買ったアルミのスタンダードな灰皿と煙草も用意し、座って珈琲を一口啜り、ゆっくりと雑誌を開いた。
群。とにかく圧倒されるのがその密度。九龍城ほどでは無いにしろ、見開きで斜め上空から写されたアパート群を見ると、唖然としてしまう。冷静になって写真の細かい所を見てみると、今度は増築・増殖された部分が際立ってくる。庇やベランダ部分をトタンで囲った「出家(でや)」と呼ばれるその違法な部屋が、時と共に増殖し今の異様な軍艦アパートが出来たらしい。誰が指導したわけでもないのに、不思議と増殖していくという違法建築パターンが、まんま九龍城と同じで興味深い。九龍城にあるような派手な看板は無いけれど、両者は非常に良く似ているのだ。
そんなミニ九龍城な軍艦アパートも、去年いっぱいで取り壊されてしまったらしい。存在している間は興味が無く、存在しなくなると興味が沸く、んだよなァ……。