細々とした雑記
きょう図書館に行ったら、仲良くなった図書館員の女の子に、君はもしかしたらこれが好きかもしれないね、などと言われて井伏鱒二の「文人の流儀」という本を渡された。コンパクトなハードカバーの本で白地に金の枠と黒の文字、手によく馴染む。中身は詩と随筆である。
ああ 蛸のぶつ切りは臍みたいだ
われら先ず腰かけに座りなおし
静かに酒をつぐ
枝豆から湯気が立つ
今宵は仲秋明月
初恋を偲ぶ夜
われら万障くりあわせ
よしの屋で独り酒をのむ
本を開くとまずこの「逸題」という詩の一辺が目に入り、たちまちこれの虜となる。ボクはすぐさまその子にお礼を言い、それを借りて帰った。帰り道に本屋で「へうげもの」を購入し、五時のチャイムを聞きながら初春の夕刻をチャリで疾走した。
- 作者: 井伏鱒二
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 1997/09/01
- メディア: 文庫
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